先月の園だよりで、「やっちまったー!!」と発行後に気づいた失敗が、わたしの名前(栄理)にルビ(読みがな)を打た(振ら)なかったことです。ルビとは読みがなであったり、言い換えを添える表記のことを指します1。
園作成の文書は、設定した基準に沿ってなるべくルビを打っています(2026年現在の方針では、全ての漢字に順次ルビを打つようにしています)。今や漢字変換で自由に漢字を入力できるようになりましたが、採用漢字については読み手の様々な事情を踏まえて書き手が配慮するべきもの。名前などの固有名詞の読み方などはその最たるものです。
一方で、「読みにくい(可読性が悪い)」という理由でルビの使用を嫌がる方々も一定数おられます。確かにルビの分、文字が混み合って読みにくく感じることはあるかも知れません。しかし、よく考えてみてください。少年マンガや少女マンガのほとんどには、漢字の全てにルビが打たれています(全ての漢字にルビを打つことを総ルビと言います)。それを読みにくいとして、少年・少女マンガを読まない人はどれほどいるでしょうか。
さらに言うと、著名な科学雑誌であるNewtonは、表紙に至るまで総ルビです。文章の内容理解において、ルビが打たれていないことで内容理解に困難が生じることはあっても、ルビを打たれることで困難が生じることはない、つまり、読みやすさの調整さえ読み手に配慮できていれば、より多くの読者のためにもルビはあった方が良いのです。
日本語を母語としていない人々にとって、常用漢字ですら2,136字、一般的には何万字とある漢字の習得はなかなか骨の折れるものです。また、学習障害(LD:Learning Disabilities)の当事者の中には、漢字を文字として認識できず、ひらがな・カタカナの繋がりから文意を推測されている方もいます2。言葉の意味が理解できるかはともかく(それは学習障害とは関係ないですよね)、読めない文字を読めるようにするという一点においては、ルビを打つだけで解決できるものなのです。そしてルビを打つことは同時に、学習する権利や知る権利といった、読み手の人権を保障することでもあるのです。
読み手の困難さをできるだけ解消すること、これはバリアフリー(社会的障壁撤去)の取り組みとして非常に大切なことだと思います。3
(2023年5月 再掲にあたり加筆修正しました)
- ルビ(Ruby)の語源は、文字のサイズを宝石に例えていた名残だそうで、ルビとして用いた文字のサイズがRuby(宝石のルビー)だったため、それが慣例化して読みがなをルビと呼ぶようになったということです。 ↩︎
- 学習障害の中でも、読字障害(Dyslexia)は「全体的な発達には遅れはないのに文字の読み書きに限定した困難がある」特性を指します(国立成育医療研究センター) 本コラムでは漢字について取り上げていますが、漢字に限らず文字そのものを言語的情報伝達の構成要素として認識できない方もいらっしゃいます。その場合、読み上げ機能といった別の伝達手段を検討することが重要となります。 ↩︎
- このような取り組みをしている団体として、一般財団法人ルビ財団(https://rubizaidan.jp/)があります。 ↩︎








